主権者教育問題
「虚偽」決めつけ、支離滅裂!!

◆…「驚き、桃の木、山椒の木!」と言う。深い意味はない。単なる語呂合わせ。寅さんの口上「ちゃらちゃら流れるお茶の水、粋な姐ちゃん立ちションベン」と同じだ。心底驚いた時に使う。今年6月18日、奥田敏晴市長をはじめ、今西仲雄・本城秋男両副市長、井関守教育長ら7人の城陽市政首脳らと後藤真孝顧問弁護士がずらり並び、市議会事務局職員が作成した協議記録文を「虚偽だ」と斬って捨てた。それだけでも衝撃だが、問題はその根拠。驚くほどの支離滅裂さ、論理性も信頼性も薄弱な代物だ。
◆…府立西城陽高校の主権者教育について、城陽市には今、事実経過も見解も全く異なる市と市議会が作成した2つの「報告書」が存在し、いずれもそれぞれのホームページで公表されている。これだけでも異常事態だが、議会事務局職員が作成した公文書を「虚偽公文書」と結論付けながら、今もって告発することもなく、放置したままだ。なぜ、放置してはいけないのか。刑事訴訟法239条2項には「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」とある。6月議会で本城隆志議員(無会派)からこの点を追及され、荒木正人理事は「必ずしも、とは書いてない。状況による」と苦しまぎれの答弁。城陽市は「ねばならない」と「必ず」は意味が違うとの解釈だが、私は同じだと思う。
◆…さて、城陽市が総がかりで「虚偽」と決めつけた「公文書」だが、4人の市幹部職員が協議した記録が書かれてある。2人の職員が2人の職員に対し、その責任を追及する内容だが、この「公文書」は追及される側が作成し、追及する側も「公文書」を作成している。その内容が、市と市議会の「報告書」が異なるように、大いに異なるからややこしい。唯一共通するのは、2月23日午前9時から、議場ロビーで、市長部局の幹部職員2人と、議会事務局幹部職員2人が対峙して話し合われたということ。協議は、市長部局職員の求めに議会事務局職員が応じたもの。
◆…まず市が「虚偽」と言う、議会事務局作成の会話記録によれば、騒動のそもそもの発端が「文パルの質問について、議会で議決を受けたものであり、主権者教育の観点から問題視され、教育長が府教委に抗議された」(市長部局職員)ことによるものとの発言が記載されている。続けて、市長部局側が、西城陽高校担当教諭から聞いたという、文パル売却問題が取り上げられた経緯を記載。そこで市長部局側は「学校側に電話する前は、学校が全面的に悪いとの思いで抗議するために電話したが、誘導とは思っていなかった」と議会事務局側の責任を追及。これに対し、議会事務局側は「なぜ、先にこちらに相談してくれなかったのか。まず事務局に言ってもらえれば、こんな犯人探しにはならなかった」と反発。対して市長部局側は「議会側が知らんことを質問項目として挙げられたなら、そのことに対する抗議は正しかったのではないか。教育長がすぐ学校側に抗議すると言われたため、経過の確認をしたかった」と応えている。議員の発言が、休憩時間をはさんで行われたことについて市長部局側は「担当教諭が、継続していいのか確認したのに、なぜ止めなかったのか」と議会事務局の対応を批判している。議会事務局側は「先の2人は賛成の意見、反対側の意見もあったほうがいいのではと伝えた」と説明している。
◆…さらに市長部局側は発言をエスカレートさせ、「議決を得たものに対し、反対の意見を伝えるなど宗教じみたものであり、授業で取り扱うのはどうなのか」「教育長は、主権者教育として府教委の高校教育主任に抗議した。グレーゾーンなどの発言は、議決を得たものに対するネガティブキャンペーンになる」などと、主権者教育で文パル売却問題を議題にしたこと、議員が発言したことを批判している。この発言内容は、教育長が市議会で発言した「公教育の場で、議論になっている問題を取り上げるのはいかがなものか」「市の担当者がいない場で、議員が発言するのはおかしい」(今年3月23日の予算特別委員会)との考えと符合する。ただ、教育長は、自らの主張ではなく同様の考えを持った市議会議員の意見として府教委に報告している。
◆…一方、同じ会話を記録した市長部局側作成の文書によれば「抗議」などの言葉は一切出てこない。教育長の、府教委への報告については「府が新聞報道の確認された場合の確認が必要」(府教委公表の報告書によれば、“学校も事前に知っておいたほうがいい”を理由にしており食い違う)としている。市幹部職員の学校担当職員への「事実確認」については、「生徒や保護者からの問い合わせに答える必要から確認した」だけとしている。議会事務局側に話をしに来た理由については「学校側の責任を疑わず、教育長が府に連絡したため、念のために事実確認しただけ」と答えたことになっている。ここで『学校側の責任』は何を意味するのか。教育長が、“公教育の場で議論の分かれる文パル売却問題を取り上げたことに問題有り”との認識を示したことを前提に、その責任は学校側にあると思っていた、という意味だろう。議会事務局の責任を問うような姿勢に対し、事務局側は「特に問題になってないことをなぜそこまで調べる」と反発している。
◆…さて、ふたつの記録文書で共通するのは、①市長部局側は、文パル売却問題を取り上げた責任を議会事務局に対し追及している②市長部局の責任追及に対し、議会事務局は反発している―の2点。一方の違いは、市長部局作成文は「要旨」であり、議会事務局側は言葉使いまで克明に記録している点。しかしながら最大の違いは、議会事務局作成文には「抗議」の言葉が、市長部局側の発言として6ヵ所も出てくる点。
◆…果たして、どちらの記録が真実なのか、市長部局は「議会事務局メモは事実と違う。名誉に関わる」、議会事務局は「事実そのもの。市長部局メモには疑問がある」と市議会全員協議会(今年3月29日)で真っ向から対立した。真実は4人しか知らない。この点について市議会がまとめた、「主権者教育への介入等に関する調査報告書」は、「抗議の言葉の使用がなかったと証明できない」としながらながらも、「事実関係を明確にすることは困難」と結論付けている。心証や思いは別にしても、それが正常な判断だろう。
◆…ところが城陽市は違う。議会事務局作成文が「虚偽」だという。問題はその根拠だ。実にとんちんかんなのだ。まず冒頭の市長記者会見で発表された「冒頭説明」なる文書にこうある。「『議会事務局の作成した文書』については、事実と異なることが明らかになりました」とし、その上で「職員の名誉を汚し、市の信用を失墜させたことは、市長として看過できない行為」と断定している。どのように「事実と異なる」のかについて、顧問弁護士が作成した「調査報告書」(市ホームページに掲載)に具体的に記述している。「事実の全容解明」をした、として新聞記事などを引用して「事実経過」を羅列した上で、「調査の方法」として「約1時間、稲川孝幸校長にヒヤリングを行った」結果、校長は市幹部職員から担当教諭への事実確認について「抗議ではなかった」との考えを示したという。それゆえ「議会事務局が作成した文書は事実に反する」と結論づけている。要するに「校長が、抗議とは考えていないから、議会事務局文書に書かれてある“抗議”は事実ではない」としているのだ。
◆…とんでもない、無茶苦茶な論理だ。議会事務局の文書に書かれてあるのは、「市幹部職員の発言」であり、発言内容が「事実」かどうかなど、ひと言も書いてない。「校長が“抗議とは考えてない”と認識」したからといって、なぜ「市幹部は“抗議と言っていない”」ことになるのか。絶対にならない。明らかにすり替えの論理だ。問題は、故意なのか理解していないのかだが。市役所のトップ級7人と顧問弁護士が「理解していない」とは考えにくい。故意なのか、だとすれば実に情けない。はじめに「自分たちは正しい」を前提に、逆から理屈を組み立てていくからこんなことになる。国レベルの森友も加計も「安倍総理は正しい」を大前提に全てを組み立てていくから、ウソや改ざんを重ねざるを得なかった。
◆…それにしても、議会事務局が作成した文書が、理不尽にも市長部局からボロクソに攻撃されているのに、市議会議員19人の反応が鈍いのはどうしたことか。ほとんどの議員は「我関せず」の状態だ。日頃の議員活動で、どれだけ世話になっていることか。「視察」から「議会だより」の編集発行まで、本来自分たちでやれねばならないことまで「おんぶに抱っこ」ではないのか。「市長部局と対立した議会事務局職員は、〇〇に飛ばされるらしい」などのデマがすでに庁内を飛び交っている。議員にとっては、職員の待遇より来春の選挙のほうがずっと気がかりなのかもしれない。「選挙で市長の協力を得るためには、市長に逆らえない」のが本音かもしれない。だとしたら、実にさみしいことだ。【藤本博】