記録的な暴風で倒壊した宇治神社の鳥居
電柱倒れ、広い範囲で停電

戦後、統計を取り始めてから最強の暴風をともなった台風21号の直撃で、府南部は4日午後から猛烈な風が吹き荒れた。学校は前日から臨時休校を決めたほか鉄道も早めに運転を見合わせ、大きな人的被害はなかったものの、強風で倒木や電柱、塀の倒壊などが相次いだ。また、広い範囲で停電したほか、倒木で道路が寸断される被害も起きた。各自治体が被害の把握に努めているが、広範囲での実態調査に時間を要しており、正確な被害把握に手間取っている。

宇治市内では昼過ぎから急激に風雨が強まり、午後2時すぎからピークを迎えた。
久御山町では午後2時20分に最大瞬間風速45・1㍍を記録したほか、宇治市でも38・3㍍(午後2時50分)を観測。スピード台風で夕方までに暴風域は逃れたが、ピーク時は昭和9年(1934)の室戸台風(京都市、42・1㍍)に匹敵する記録的な暴風が吹き荒れた。

■宇治神社の鳥居倒壊

宇治市内では宇治神社(宇治山田)の鳥居が倒壊したほか、世界遺産の宇治上神社(宇治又振)では宇治市の名木100選のけやき(樹齢300年、樹高27㍍)の神木が折れ、拝受所の屋根を直撃した。
興聖寺(宇治山田)でも古木が倒壊し、琴坂の山道では倒木の撤去作業が行われた。県神社(宇治蓮華)では境内にある神木ムクノキ(名木100選指定、樹齢500年)の枝が折れ、梵天が鎮座する天満社の屋根を直撃。狛犬が倒れるなどの被害が出た。
槇島町や神明地区など市内各地で電柱が倒壊。午後3時半ごろまでに菟道車田、平町、谷下り、丸山、五ケ庄北ノ庄、槇島町吹前、白川、木幡、二尾、池尾などの各地区で停電が起こり、範囲はその後も広がった。6年前の府南部豪雨災害で弥陀次郎川(天井川)決壊で浸水被害を受けた北ノ庄地区では暗闇の中、日没を迎え、本紙に住民から不安の声も寄せられた。
宇治市は台風接近に備え市内28ヵ所に自主避難所を開設。58世帯91人(男性41人、女性50人)が自主避難した。【岡本幸一】

■水度参道の倒木で道ふさぐ/城陽市
一部で停電、人身に被害なし

激しい風が吹き荒れた城陽市内では、人がけがをするなどの被害はなかったものの、民家の瓦やトタン屋根が飛ぶなどの被害があった。
水度参道や宮ノ谷などで倒木が相次ぎ、通行止めや停電などが発生した。古木が多い水度参道では3本の木が倒れ、うち1本は樹高8㍍の巨木が、根っこから倒れ込み道路をふさぎ、民家のガレージを壊した。【藤本博】
【写真は道路をふさぎ、民家のガレージに倒れた水度参道の巨木】

■瞬間最大風速34・4㍍/京田辺市

観測史上最大の瞬間最大風速34・4㍍を記録した京田辺市では、市内各所で看板が倒れたり、波板が飛ばされたりした。停電も各地で発生したが、午後6時現在、関西電力は世帯数などを把握しきれていない。問い合わせが殺到した市では午後8時前、ホームページで緊急情報をあげ、関西電力による復旧作業が行われていることを通知した。
また、市内10ヵ所に避難所を設置。51世帯81人が避難した。人的被害は確認されていない。

高船南谷では電柱が倒れ、道路を封鎖。薪岸ノ下でも電柱3本が倒壊した。水取天王線では、電柱のほか倒木もあり、通行不可となった。

■風速45・1㍍、20人が自主避難/久御山町

久御山町では、午後2時20分に最大瞬間風速45・1㍍を観測した。町は午後6時までに4人の人的被害を確認したが、いずれも命に別条はない。
農業施設では、ハウスのビニールが吹き飛ぶなどの被害が出ている。また、民家や事業所などの損壊も多数報告があるが、大きな被害は確認されていない。街路樹の倒壊が多数あり、今後、通行止めなどの安全対策を検討している。
町には午前6時15分に暴風警報、同10時14分に大雨警報が発令された。午前8時半に災害対策本部を設置し、同時に町役場5階に自主避難所を開設した。住民20人が身を寄せたが、午後5時過ぎまでに全員帰宅した。【盛川振一郎】

■多数の倒木、人的被害はなし/宇治田原町

宇治田原町では4日午前6時15分に大雨・雷注意報、暴風警報が発令されたと同時に、災害警戒体制2号を設置。10時14分には大雨警報が発令された。
町はパトロールを実施し公用車で町内を巡回、状況把握に努めた。多数の倒木が確認されており、対応に追われている。このほかについては特に大きな被害は確認されておらず、人的被害もない状況。
また、同日午前10時に避難準備を発令し、避難場所として町住民体育館、町立田原小学校、町立宇治田原小学校、奥山田ふれあい交流館(旧奥山田小学校)の4ヵ所を指定、10世帯14人が避難した。
湯屋谷・郷之口・禅定寺・南地区の一部で停電の報告もあったという。町内を走る無料の公共交通、町営バス・コミュニティバスについては同日の日中に運休した。【鹿野達郎】

■倒木など風の被害/井手町

井手町では、倒木の被害が多数寄せられた。府道和束井手線は町境の倒木により、午後5時から井手町田村新田~和束町白栖区間で通行止めとなった。
午後6時現在、目立った人的被害や社寺仏閣への被害は確認されていない。
町内4ヵ所に設置した避難所は、午後7時に閉鎖したが、一部で停電が続いている状態。関西電力の電話回線もパンクしており、住民らは暗闇の中不安な夜を迎えた。