平等院ミュージアム「鳳翔館」で始まった秋季特別展(写真左端が初公開した北面母屋柱(長押上)復元図)

世界遺産の平等院=宇治市宇治蓮華=で鳳凰堂の内部を装飾する宝相華(ほうそうげ)と呼ばれる花模様にスポットを当てた秋季特別展「秘密の花園―麗しくかぐわしい鳳凰堂の宝相華―」が15日から平等院ミュージアムで始まった。鳳凰堂内の彩色(さいしき)復元画を手掛けている画家の馬場良治さんが本尊の阿弥陀如来坐像に向かって右側にある柱絵の新作復元図を初公開しており、極楽浄土をイメージした鳳凰堂内の荘厳(そうごん)を追求し、宝相華の細部の文様にもこだわった創建当時をしのんでいる。

堂内埋める極楽浄土の花模様
柱絵を彩色復元
特別展で新作初公開

藤原摂関家の関白・藤原頼通が天喜元年(1053)、父道長の別荘を寺院に改めた平等院は「極楽いぶかしくば宇治の御寺をうやまえ」と詠われ、極楽浄土を現世に具現した寺院で名高い。
平等院では2004年から創建期の鳳凰堂の堂内彩色を復元する事業に着手し、蛍光エックス線や電子顕微鏡を使った科学調査で当時の技法や顔料を特定。
文化財建造物の彩色復元の第一人者である馬場さんが調査成果を基に彩色文様の絵画を復元。この間の特別展で成果の一部を紹介してきた。
浄土信仰はその根幹をなす経典や、経典をわかりやすく説いた僧・源信の「往生要集」を契機に、永承7年(1052)に到来するとされた末法への不安を背景に貴族をはじめ広く信仰された。
こうした考え方を色濃く反映した平等院は、浄土教の経典に示す極楽の植物「宝樹」を再現させるため、宝相華と唐草が左右に反転しながら画面全体を埋め尽くす宝相華文様で堂内を装飾。
これまでの調査で、カラフルな文様には金箔を配し、本尊の台座のある須弥壇(しゅみだん)に宝石やガラス玉をはめる穴をあけた螺鈿(らでん)の装飾をほどこしたほか、本尊の頭の上に掲げられた天蓋(てんがい)には鏡を据え、堂内に極楽の風景を立体的に再現するために細部の意匠にもこだわった創建者・頼通の意図が鮮明に浮かび上がってきた。

初公開した復元柱絵の該当箇所(丸囲み部分)

初公開した新作の復元柱絵は北面母屋(もや)柱の長押(なげし)上にあたる部分(タテ約1・4㍍、ヨコ約0・7㍍)。特別展では8年前に復元した南面母屋柱の復元図などと共に紹介。
現在は白壁となっている鳳凰堂内が、創建当時は浄土教の経典に基づいて極楽の花を忠実に表現した宝相華文様で彩られていた当時をしのぶ。
新作の柱絵復元図の展示は前期のみ。特別展は前期が11月9日まで。後期は11月10日~来年1月11日まで。平等院拝観料(大人600円、中高生400円、小学生300円)。【岡本幸一】