「ワークスタイル研究会」という会合に行った。知人の主催だ。
“働き方研究会”と訳せるのだろうが、時短とかワークライフバランスの類いではない。“イノベーションを起こす働き方”の研究会だ。
この日の講師は岡田大士郎氏。日本興業銀行・ドイツ銀行グループを経て、スクウェア・エニックス米国法人社長。帰国して本社総務部長となり、社内の環境改善に取り組んだ。
言うまでもなく、スクウェア・エニックスはゲーム開発の雄。講演タイトルは「イノベーションスパークを沸き起こすワークスタイル」だった。
社員同士が関わり合う場―具体的に言うと食堂や会議室など―を空間デザインすることで社員の会話に変化が生じ、アイデアがスパークし合い、革新的な製品が誕生する。社屋移転の際、岡田氏はこの信念の下で共有空間をデザインした。結果、同社の作品が何作もゲームランキングのトップ10に入り、会社の収益は3倍になったという。
クリエイティビティは、アートやエンタテインメントだけに存在するものでは決してない。マニュアルに沿って総菜を作っていても、作業者の中で「こうすればもっとはかどるのに」という発想は生まれる。新聞記者にとっては、こんなテーマで書けないだろうかなどと発想を重ねていく。それはクリエイティブな出来事だ。
個人の中でのちょっとした発想がスパークし合う場や社内的雰囲気があれば、イノベーションともなるだろう。しかし、そう考えない経営サイドも多いようだ。
会合の後、岡田氏と親しく話す機会があった。氏は、「大阪では、“場”づくりよりも給料を上げる方が効果が出ると言われる」と残念そうだった。
京都ではどうだろうか。【奥井凜】