勢いよく回る木製水車(宇治川派川)

昨年、断念していた宇治川水車発電の「実験」が29日に行われ、府立宇治公園橘島下流の派川で落差を利用した水車が滑らかに回転。ケーブルの先にある電飾が点灯し、黄昏が迫る河畔に、ちはや姫がくっきりと浮かび上がった。
宇治市地球温暖化対策推進パートナーシップ会議(通称「ecoット宇治」、居原田晃司会長)と市などが推進する水車復活。「わが国で最初に水車の造作にあたったのは、宇治の里人」ともいわれ、徒然草をはじめとする古典には宇治の水車は馴染みの風景として描かれている。全盛期には100基以上が沿岸に点在し、やがてポンプ場整備とともに明治期以降は姿を消していったという。
市民・事業所・市の三者協働で市地球温暖化対策地域推進計画を進めよう―と、2009年に発足した同会議の再生エネルギーグループ・中村治夫さんらを中心に、㈱三谷合金製作所、大阪工業技術専門学校(OCT)、地元団体など参画の「宇治水車プロジェクト」が、平和堂財団環境保全活動助成事業「夏原グラント」の支援を受け、木製水車を制作した。
しかし、昨年10月、宇治川で実験を企画したが、予備日を含め、台風の影響を受けてやむなく断念した。
夢への一歩を踏み出す実験当日、日が傾きかけた夕刻の府立宇治公園橘橋下流沿岸にはメンバーら約50人が集まり、セッティングされた直径約1㍍の木製水車の動きを固唾をのんで見守った。
号令とともに樋を伝った川の流れはほどなく水車を回転させ、ボードにかたどったちはや姫を縁取る電飾を照らすと、拍手と歓声に沸いた。
河床工事を受け、十分な高さを確保できないため、上掛けする予定の樋を中掛けするも、16㍗の発電に見事に成功。「塔の島一帯の街灯の電源を賄えるだろう直径約10㍍の水車を設置したい。観光面でも役立てるのでは」と当面の目標を据え、宇治発電所や鵜小屋近くなど設置場所候補の絞り込みと交渉を視野に入れる。