国宝平等院鳳凰堂 平成修理報告書

宇治市にある世界遺産「平等院」(宇治蓮華)で2012年から14年にかけて行われた「平成の大修理」を解説する「国宝平等院鳳凰堂・平成修理報告書」が、3月31日に刊行された。本文編、デジタルDVD映像編、デジタルDVD画像編のセットとなった世界初の動画収録報告書だ。
本文編は全444ページ。大修理の全容が各界研究者により解説されており、今後の修理に向けてさまざまな提言がなされている。国庫補助事業では世界初となった修理動画をおさめたDVD編では、各シーンを検索可能とした。画像編は図版編として約2500枚におよぶ修理中の画像を検索可能とした。
また、新出・未発表となる昭和修理の「構造計算調査報告書」や、修理委員会議事録(第1回~第6回)も全文掲載。さらに同委員会で使用した検討資料をカラー画像で全回分掲載しているので、修理検討過程をすべて知ることができる。そして、巻末には鳳凰堂の外装塗装で使用した丹土塗りの見本(同様の方法で塗装)を、5㌢角のサイズで封入している。
事業期間中、新たな発見があればその都度公表を行ってきたが、修理後の追加調査により新たに分かったこともある。「鳳凰堂修理は、それぞれ国内の巨大地震に連動して、その直後に実施されていた」、「鳳凰堂河内系瓦は『重ね積み2枚作り』手法で制作されていた」など、報告書にて初めて明らかにする内容もある。
同院の神居文彰住職(56)は「平成は平等院にとって修理の年代であった。その集大成としての鳳凰堂修理報告書を発刊することができ、感無量である。技術継承という意味で動画も集録。次期修理に供することが可能なよう、気鋭の研究者による調査も実施している。その過程で、古代寺院造営の年次期間が確定され、新技法の瓦製作法も発見された。なにより、地震への応力を有する構造を常に意識して修理を繰り返した建造物であったことは執筆に値するであろう。今後、本報告書が平等院のみならず古代建造物および彩色を含む工芸の保存に活用されることを強く望む」とコメントした。
映像を担当した帝塚山大学文学部教授の牟田口章人さん(元朝日放送プロデューサー)は「我が国で木造建造物修理の記録として写真を活用した歴史は一世紀を超える。この度、鳳凰堂の平成大修理では動画記録を報告書に添付することが初めて叶った。修理現場に動画撮影班がカメラを担ぎ、通った回数は100回を超えた。高精細な動画で、建造物修理だけでなく、修理に携わる匠の技も記録し次世代に伝える。本動画記録で、そのどちらも実現できた意義は大きい」と伝えた。
報告書は平等院鳳翔館ミュージアムショップにて購入が可能。電話での注文もできる。1セット3万円。問い合わせは世界遺産平等院TEL (0774)21-2861まで。