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| ■ワールドカップ観戦記 |
| 梅原 幹正 |
No7
この試合、日本は57分にベルギーのキャプテンでもある選手に見事なオーバーヘッドシュートで先制されている。先制点を奪われた日本が、同点、及び逆転ゴールを奪う確率は30パーセントあるなしだったらしい。それがW杯の初戦、選手だけでなく観客も緊張していたであろう試合で、先制されて僅か2分後、確率を吹き飛ばすゴールをしたのだ。狂喜するのも無理はない。 授業を終え、会社に戻り、仕事を終えて家に帰り、早速に録画しておいたダイジェスト番組を見た。 普通、全編録画しておくべきかもしんないけれど、なんか全編を録画しておいても、それを見るまでに、どこかで必ず結果を知る事になり、いつゴールが決まるかとドキドキしながら試合を観る楽しみがなくなるから、全90分を40分位に短縮したダイジェスト番組を録画しておいたというワケ。 前半はラジオで聞いた通りのヤバイ展開だったのだが、先制されて直の、鈴木選手の諦めない走りが呼んだゴールの後は、日本は見違えるようなるチームになり、ベルギーを押していた。 きっとこの大会でサッカーに魅力を感じたという人は、あの鈴木選手のゴールが今大会で一番印象に残るゴールになるんじゃないかなと思う。決勝トーナメントに進んだからと大騒ぎ、ベッカムがかっこいいからと大騒ぎしている人より、鈴木選手のゴールへの走りを生で見たいと思う人の方がスタジアムに足を運ぶ事になると思う。 日本代表の2002年W杯初ゴールでもあるし…ね〜。 この後予選リーグで、決勝トーナメントで、有名選手が、名前も知らない選手が見事なゴールを決めていたけど、私が印象に残っているのはこの鈴木選手のゴールだった。 ベルギーの選手も、テレビを見ていた人も、埼玉スタジアムで観戦出来た人も、あの試合を見ていた世界中の誰もが、小野選手が出したロングパスがゴールに結びつくチャンスになると思ってはいなかったと思う。あれがチャンスになると思ったのは鈴木選手だけだったと思う。 誰も思わなかったチャンスをゴールに結びつけたのは、Jリーグでも国際試合でも20002度は全くゴールをしていなくても日本代表に呼ばれている以上諦めなかったからで、それは諦めない事が大事だという当たり前の事をゴールを決めた事で見事に証明してくれて、誰も思わなかったチャンスにひとり走った事により、チャンスを見つけ、それを掴む事がどれほど難しいかという事を披露してくれたのだと思う。 鈴木選手の方が私よりもはるかに“年下”なんやけどね…。 そんな事を思っていると、急に携帯が鳴り、出てみるとTさんだった。 「試合見ました?」 「仕事と学校」 「ああ、そうでしたね」 「今、ニュースでハイライトを観てるトコロ」 「就職決まりましたよ」 「それは良かったね」 …まずは良かったねといったトコロだろうか。ベルギーに引き分けて、勝点1を獲得した日本と同様に…。 この不況下、この先どうなるかなんて誰にも判らないのではないだろう。将来の事について、誰かに何か適切なアドバイスを出来る人って、今の世の中に居るのかしら。 「それで、チケットのコトなんですけどね」Tさんが続けてきたので、 「う〜ん、これは無理かもしれんな〜」「韓国での試合、あんだけ余ってたんだし、なんか別の方法で売りやがれって言いたいよな〜」とFIFAとバイロム社を罵りにかかっのだが、ふと、韓国で開催された試合のチケットは、なんであんなに余っていたんだろうかと、電話相手を無視して考え込んでしまった。国民性の違いなんだろうか。きっと観る事が出来るであろう有名選手のスーパープレイ等々を生で見たくなかったんだろうか。なにかで読んだのだが、ウソかマコトか開幕戦をスタジアムで観戦した韓国人の中には前半だけで“帰ってしまった”人もいたらしい…。 TVでは、結局引き分けに終った日本戦に続いて、韓国代表の初戦であるポーランド代表との試合が流されている。試合は始まったばかりのトコロで、ポーランド代表が押しているようだ。それをボンヤリ眺めていると、耳元で誰かが何かを言っている。そうそう、電話していたんだった。 「…聞いてます?」Tさんは少し怒っているみたいに喋ってきた。 「あっ、はいはい。鈴木選手のゴールやろ、あれはびっくりしたな〜」と適当な相槌を打つ私に、 彼は「違いますよ!ちゃんと聞いてくださいよ」と声高。 「えっ」 「三位決定戦のチケット、手に入るかもしれませんよ」 「うっそ〜!!」 私は鈴木選手が小野選手からのロングパスをゴールに結びつけた時、ベルギー人の誰もが“口にした”であろう言葉の様に喚いていた…(つづく)。 |
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